2014年2月9日日曜日

英語発音指導が英語学習者に与える影響

こんにちは。
今回は、大学時代に僕が書いた卒業論文をブログに載せようと思います。

何回かに分けて掲載することを予定しています。

僕は大学生の頃、言語学を専攻していました。
その中で、音声言語学を指導教員のもとで学びました。

時間が許せば、もっと掘り下げて学びたいと思える学問だと感じました。

せっかく論文を書いたので、そのままデータ化しておくのもなんだかな、と思い、今回ブログに載せようと考えました。

目にした人に何らかの役に立てば幸いです。
第一回目は、論文の第一章「はじめに」を掲載しようと思います。




1.はじめに
1.1 目的

人によって差はあるものの、日本人の話す英語がなんとなくぎこちなく感じるのはなぜだろうか。その原因にはイントネーションや核配置などがあるが、英語母語話者と日本人英語学習者を比較してみるとどのような違いがあるのか。また、日本の中学生は将来に対する英語の重要性を感じながらも、英語に対する苦手意識を持つ生徒は多い。なぜこれほど英語に苦手意識を持つ生徒は多いのだろうか。もしその苦手意識が喋ることに因るものだとすれば、どのような指導をすれば効果があるのだろうか。この論文では日本語と英語の音声面に焦点を当て、発音に指導を与えることで日本人母語話者の英語は向上するのかを明らかにすることを意図する。


英語音声学を学ぶにつれ、英語には発音上様々な要素や現象があることを知った。また、中学校から英語を学んでいくうちに、英語母語話者同士の会話や英語リスニング教材を聞いていると通常の速度で話される英語には聞き取るのが難しいフレーズがあることに気付いた。単語を聞きとるときにその単語ひとつで発音されるときには聞きとれても、文レベルでの会話になると聞き取ることが難しくなってしまうのはどうしてなのか。この「聞き取ることが困難」なことは、発話をする以前に英語を苦手と感じてしまう要因になってはいないだろうか。また、もちろんとても上手く発音することができる日本人もいるけれど、発話に関して日本人英語学習者の発話はネイティブのようには聞こえないのはなぜなのだろう。その原因は一つに限らず、イントネーションや核配置などいつくかの原因が考えられる。ここではそれらの一部である「同化と脱落」に限って見ていくことにする。英語発話という生産的な側面に焦点をあて、発音に関する明示的指導が発音に与える影響を調査することにする。


1.2 手法
日本語母語話者に対する発音指導の効果を分析する。諸効果を検証するために、英語母語話者の音声と、日本人英語学習者の音声を比較検討する。ここでモデルとする英語母語話者の音声データは、ESL Podcast(1)の音声データを使用する。日本人英語学習者の音声データは、ボイスレコーダーで録音したものを使用する。比較する際には音声分析ソフトウェアである「praat」を用い、聴覚・視覚的分析を試みる。


1.3 手順
 連続した会話で現れる英語の特徴的な現象をまとめる。ここで扱う現象は脱落と同化である。指導の効果を見るために被験者に協力してもらい、英語の発話をボイスレコーダーに録音する。その際に採取した音声データを音声分析ソフトpraatにかけ、日本人英語学習者と英語母語話者の発話の視覚的分析を試みる。指導を与えることで指導した内容が発話に影響するのかを見る。また、教授した内容を別の文に適用することができるのかを確認していく。なるべく純粋な日本人に協力をお願いすることを意図し、高円宮杯全日本中学校英語弁論大会で設けられている参加者基準を参考にし、被験者対象外枠を設けた。

<被験者対象外>
(a)主に英語を使用する国・地域、英語圏で生まれ、満五歳を過ぎるまで英語圏で生活した者。
(b)満五歳の誕生日以後に、通算一年以上または継続して六カ月以上、英語圏に居住した者。
(c)祖母・祖父母のいずれかが、英語圏の国籍を持ち(帰化された方を含む)、日本における居住期間がおおむね三十年未満である者。
(d)海外での居住地が英語圏以外の国であっても、六か月以上、現地のインターナショナル・スクールやアメリカン・スクールに在籍した者。



(1) ESL Podcastとはインターネット上で配信されているダウンロードファイルで、週に2~3回程度の音声配信を行っている。



praatなど、おそらく音声学に親しみのないかたには聞き慣れない単語もちらほら見受けられたかと思いますので、次回は、本論文の第二章に入る前に、praatの使い方を書こうと思います。